「後巷説百物語」 [書庫]
とうとう完結してしまった百物語。
又市が、百介が、おぎんが遠い世界に行ってしまった。
なんだか現実の友人をなくしたような寂しさだ。
出版の順に呼んでいたらきっと「前巷説百物語」で救われたのだろうな。
でも天邪鬼の私はこちらを一番最後にしてしまった。
又市のし掛けた妖怪仕掛けが後の世で京極堂シリーズとリンクしているのに感慨を覚える。
「鉄鼠の檻」しかり、「狂骨の夢」しかり、「オンモラギの瑕」しかり。
「嗤う伊右衛門」「覗き小平治」にもこの又市が多少絡んでいるらしいがどちらも未読なのでノーコメント。
このお話の中に出て来る「小夜」という娘。
これがおぎんの孫であるなら、彼女は確かに存在した。
それなら又市は?
いろいろな場面での又市の言動を考えると、彼は生涯天涯孤独だったと思う。
仲間はいても家族はもたなかったと思われる。
それでも私は夢見てしまう。
おぎんの娘「りん」の父親が又市でその娘「小夜」がのちの「京極堂」つまり中禅寺秋彦の先祖であってほしいと・・・。
コメント 0