「理由」宮部みゆき [書庫]
宮部みゆきさんの作品としては残念ながら私の中では不完全燃焼の感が残る一冊。
内容が悪いのではなく、やはり臨場感に欠けるといったところか。
高層マンションで一家4人が殺される。
のちにそれは本当の家族ではないことが分かる。
では彼らは誰で、何のために一緒にそこで生活し、どんな理由で殺されたのか。
結論としてすべての事情が分かってから、関係者に当時の話を聞くというスタイルで物語が進行していく。
どんなに悲惨でドラマチックな事件も、時がたち気持ちが落ち着いてから、あの時はああだった、こうだった。多分こんな気持ちだったんだと思う。
話している人にとってはそれが真実なんだろうけど、やはり一度自分の記憶の中、心の中で整理をつけてしまった話はどこか嘘くさくてすっきりとこちらに入ってこない。
確かこの作品ドラマ化もされたし、賞もとってなかったっけ?
宮部作品はどれをとっても質が高いが、中にはこういう落とし穴もある。
でも、これは作品の出来、不出来とは関係なく読み手側の受け取り方次第なんだから、仕方ないか。
私も宮部作品は好きでよく読みます。
これももちろん読みました。
登場人物は、みんな人間の弱さを持った人間くさい人が多いのだけれど、それがまとまると…なんだか現実離れしてしまって。
読後感は、すっきりしませんでしたね。
宮部作品では、時代物も好きです。
by さーママ (2007-08-16 19:43)
さーママ様。
まさに現実離れ…それです。
自分がなぜすっきりしなかったのか、これでよくわかりました。
一番の犯罪者の人となりがまるで分らなかったですからね。
彼だけが生い立ちも背景も結局わからずじまいでしたね。
宮部さんの時代物私も好きです。
特にお初シリーズは面白い。
by izunosuke (2007-08-17 07:23)