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「輪違屋糸里」 [書庫]

今回初めて浅田次郎さんの作品を読みました。
この方の作品を映像ではたくさん見ているのですが、なぜか原作を読む機会がなかった。
今回の作品も実は先にTVで見て感動したので、図書館で早速借りてきて読んだものです。

輪違屋糸里 上

輪違屋糸里 上

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫


輪違屋糸里 下

輪違屋糸里 下

  • 作者: 浅田 次郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫

TVの方の前編の最初1時間を見逃したので、なぜ音羽太夫が芹沢鴨に無礼討ちになったのかがどうしても知りたくて読んだようなものです。
おかげですっきりしました。

私は今まで土方ファンでした。
新撰組といえば土方。
でも、この作品の中の土方は…好きになれない。
もちろん悪人ではないし、むしろ悲しいくらいまっすぐすぎるのでしょうが・・・。
糸里への仕打ちはやはり女としては認めたくない。

その分やはり糸里の女としての生きざまの見事さは涙涙でした。
ただ、ドラマの中には出てこなかったのですが、原作では最後に糸里の親友の独り言で終わるのですが、その彼女に子供のように泣きじゃくって女の幸せをあきらめた糸里が語られるところでまたも涙を抑えられませんでした。

この作品は女たちの生きざまの見事さが描かれています。
糸里は勿論、お梅、吉栄、お勝、おまさ、音羽太夫。
この女たちに比べると男たちは…。
良くも悪くも子供です。
侍であること。男であることにこだわるばっかりに無用な殺生をしなければならない。

この中で土方は結局糸里をどう思っていたのか、よくわかりませんでした。
作者はやはり男の方だからでしょうか。
糸里に土方がした仕打ち(平間の件。闇討ちへの加担とその口封じをしようとしたこと)はやはり納得ができない。
愛していたならそんなことがよくできたなあと思ってしまいます。
なのに太夫あがりを決めた糸里に「一緒になって百姓をやろう」なんてよく言えるものだと腹が立った。

私の中の土方像とこの作品の中の土方は全くの別物だ。
そしてやはりこれは糸里の物語だ。
女としてこれほど見事な主人公は珍しい。
大夫になった糸里(桜木太夫)が最後に初道中でのセリフ「一橋中納言さんへ。会津中将さんへ。輪違屋桜木太夫、逢状うけたまわりまして、ただいま罷り越しますえ。」が哀しくも凛と響いて泣きそうになりました。


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